旦 雄二長篇劇映画『 少年(最終完成版)』〇撮影・照明:中本憲政カラー/デジタル/2014年/2時間57分中本よ。もう おとといになってしまったね。その日のうちに書けなくて、すまない。2007年、いまから7年前のおととい 6月18日。ドイツのニッポン・コネクション映画祭から戻ってすぐに、 この映画の暫定編集版プレミア上映の反響を報告して、祝杯をともに挙げた その10日後、君は不慮の事故で、還らぬ人になったのだった。若松さんや護さんも、最近そちらに行かれたことは知っているよね。また喧嘩などしていないだろうか。いろいろあったけど、どうか仲良くしていてほしい。いずれ ぼくも、そこに加わらせてもらうのだから。この とんでもない超大作自主映画は、君の理性と狂気がなければ、撮りきることはできなかった。最高の盟友、同志である君の突然の死が、その後の ぼくの、この映画を巡っての激しいモチベーション低下、どうしようもない脱力感の、 大きな要因のひとつとなったことは 、もちろん隠さないが、それを言いわけにしてはいけない。君のためにも、この映画は、かならず完成させて 公開しなければならない。北海道の墓前に、報告に行くからね。もう少しのあいだ待っていてくれ。中本ちゃん。ありがとうございました。〇中本憲政 映画キャメラマン。『TRUTHS: A STREAM』(槌橋雅博監督)、『山谷 やられたらやりかえせ』(佐藤満夫・山岡強一監督)、『衝撃 パフォーマンス』(若松孝二監督)、『紅 BENI』(もりしげる監督)など (1951年生~2007年没)